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ここでもう一つの作品を読み返してみる事にする。「蜘蛛の糸」である。あらすじぐらいは覚えていると思ったら、私は一つ重大な読み落し、いや読み忘れ、いや読み違えをしていたことに気がついた。 蜘蛛の糸が、切れた理由である。 いつの魔に私は、それは血の池を脱しようとしていたカンダタを、他の罪人が引きずり下ろしたからだと作品を脳内改変していた。しかし実際は、他の罪人もカンダタの後を追って蜘蛛の糸をよじ上っていたのである。糸が切れたのは「自分の糸」だとカンダタが主張した瞬間。罪人たちが極楽に上り損ねた理由は、嫉妬ではなく強欲ゆえだったのだ。
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